三毛猫レクイエム。
第四章
錆び付いた、秒針
勤めている携帯ショップの閉店時間となり、私は店舗の入り口に鍵を閉めて、ブラインドを下げた。
これから帳簿を確認して、在庫の確認をして、今日の仕事は終わりだ。
「姫木ちゃん、終わったら、飲みに行かない?」
在庫確認に裏へ回ったとき、山里先輩から声をかけられた。
「女の子の頭数足りなくてさ、お願い」
両手を合わせて、小首を傾げる仕草は、同性の私でも可愛いと思うし、どうして彼女に恋人がいないのかとも不思議に思う。
「頭数って……合コンですか?」
「そうともいう」
正直、そういう集まりに出たいとは思わない。
自分の心の整理がついていないせいもあるし、あきに悪いから。
「あー、やっぱ姫木ちゃんは駄目か」
先輩の頼みを断るのも悪いから、答えをためらっていたのだけど、先輩はすぐに私の気持ちを悟ってくれたらしい。
「……ごめんなさい」
「ううん、良いよ。姫木ちゃんの気持ちはわかってるから」
笑顔で私の肩を叩く先輩に、私は心底申し訳なくなる。
「やだ、姫木ちゃん、そんな落ち込まないで。私、本当に気にしてないから」
「いえ……」
一年前、あきを亡くしたとき、私はしばらく無断欠席をした。
あまりにも無責任が過ぎるから、辞表を持って出勤した私を、店長や同僚はまた受け入れてくれた。
皆、私を励ましてくれるし、新しい出会いの場を用意してくれたりもする。
だけど、肝心の私がそれを受け入れられないでいる。
これから帳簿を確認して、在庫の確認をして、今日の仕事は終わりだ。
「姫木ちゃん、終わったら、飲みに行かない?」
在庫確認に裏へ回ったとき、山里先輩から声をかけられた。
「女の子の頭数足りなくてさ、お願い」
両手を合わせて、小首を傾げる仕草は、同性の私でも可愛いと思うし、どうして彼女に恋人がいないのかとも不思議に思う。
「頭数って……合コンですか?」
「そうともいう」
正直、そういう集まりに出たいとは思わない。
自分の心の整理がついていないせいもあるし、あきに悪いから。
「あー、やっぱ姫木ちゃんは駄目か」
先輩の頼みを断るのも悪いから、答えをためらっていたのだけど、先輩はすぐに私の気持ちを悟ってくれたらしい。
「……ごめんなさい」
「ううん、良いよ。姫木ちゃんの気持ちはわかってるから」
笑顔で私の肩を叩く先輩に、私は心底申し訳なくなる。
「やだ、姫木ちゃん、そんな落ち込まないで。私、本当に気にしてないから」
「いえ……」
一年前、あきを亡くしたとき、私はしばらく無断欠席をした。
あまりにも無責任が過ぎるから、辞表を持って出勤した私を、店長や同僚はまた受け入れてくれた。
皆、私を励ましてくれるし、新しい出会いの場を用意してくれたりもする。
だけど、肝心の私がそれを受け入れられないでいる。