三毛猫レクイエム。
ヒロの声は掠れていて、気だるげだった。私は顔をしかめて、
「病院には行った? 薬は?」
そう尋ねた。ヒロは首を横に振った。
「ただの……風邪かと思って」
私はため息をつく。
「ただの風邪だからって、甘く見ちゃいけないんだよ。わかってる?」
「……ごめん……」
私がこんなに反応してしまっているのは、あきの初期症状が風邪と酷似していたせいかもしれない。
「ヒロまで、私を置いていかないで……」
「……真子さん……」
私は、ヒロの熱っぽい手を握った。
「ヒロまでいなくなったら、私、二度と笑えなくなる……」
涙と一緒に、気持ちが溢れてくる。
「ヒロのことが、好きだから……」
私の言葉に、ヒロが目を見張った。私の目からはどんどん涙が溢れてくる。
「でも、あきのことが好き。忘れられない……」
「……うん」
「だけど、ヒロまでいなくなっちゃ、嫌だ……」
「ごめん」
泣いている私の元に、ヨシが近寄ってきた。
みゃあ
まるで泣かないで、大丈夫だよ、と励ますように、ヨシが私に擦り寄ってくる。
「今、買い出しに行ってくる」
「一人で……大丈夫?」
「大丈夫。薬も買ってくるから」
涙をぬぐった私は立ち上がった。
「早く、良くなって」
そう言い残して、私は買い物に出かけた。