三毛猫レクイエム。
「真子さんは、泣き虫だね」
「……ヒロが、優しすぎるから」
あきのことを忘れられない私を、それでいいと受け入れてくれるヒロ。
そんなヒロだから、私は惹かれているのかもしれない。
これから、一緒にいてくれると言うヒロに、私はあきのことを思わずにはいられなかった。
ただ一緒にいるという些細な幸せを、あきは手に入れることができなかったんだ。
「ヒロは、どこにも行かないで……」
「ずっと、真子さんのそばにいるから」
私が握った手を、ヒロは握り返してくれた。
この繋いだ手を、今度こそは失いたくない。
このとき、私は確かにそう思っていたんだ。