三毛猫レクイエム。
「これ、いつ撮ったの?」
「んー? 内緒」
ヒロはそう言って微笑んだ。写真の中の私は、楽しそうに笑っていた。写真をいろいろ見ているうちに、今日の写真じゃないものになる。
「あ」
「うん?」
「このヨシ、すっごい可愛い!」
前も見せてもらったけど、ヒロの写真はヨシばっかりで、笑ってしまう。
「ヨシのこと好きすぎだよね」
中にはヒロとヨシが一緒に写っているものもある。
「あれ、ヒロって眼鏡かけるの?」
「ん?ああ、たまに乱視になるんだ。疲れたときとか」
「へえ」
眼鏡をかけたヒロの肩に、ヨシがマフラーのように乗っかっている。
「可愛い」
「ヨシ、留守番で不貞腐れてるぞ」
「ふふ、お土産買っていってあげよう」
そこに、注文していた料理が届く。
「うわ、美味しそう」
「さ、食べよう」
「うん。いただきます」
カルボナーラを食べる私を、ヒロが目を細めて見つめる。
「私のことばっかり見てないで、ヒロも食べなよ」
「うん、そうだな」
ヒロは笑って、食べ始めた。思わずそれを目で追ってしまい、その色っぽい動作にどきりとしてしまう。私は慌ててカルボナーラに意識を集中させた。
夕食の後、最後に園内のショップに立ち寄った。
「あ、これ可愛い」
オウムのぬいぐるみを見て笑う私。
「ヨシには、何を買っていってあげよう?」
「ぬいぐるみなんてあげたら、ずたずたにしちゃうんじゃないか?」
「えーっ」
ヒロの言葉に、鳥のぬいぐるみと格闘をするヨシの姿が思い浮かんだ。
「うーん、それじゃあ、何がいいかな?」
「そうだな……」
ヒロは、透明のボールを手に取った。中に鳥や花のマスコットが入っている。