欠点に願いを
case1.〜澪の場合〜

I






「澪ぃ? 今日も学校に行かないの?」


私は寝ぼけた頭で少し考えてから、母さんに答えた。


「…ごめん、やっぱ今日も行きたくない」






私は花沢澪(ハナザワ レイ)、高校二年生。
……だけど、学校には行ってない。
具合が悪い訳でも、留学してる訳でも、校則を破って謹慎中でもない。
いわゆる不登校ってヤツだ。



憧れの高校に何とか入学出来た時は、本当に嬉しかった。
入りたい部活は決まってたし、だけど部活掛け持ちOKの環境下で、他の部活も素敵で迷ってた。
校則も比較的自由で、私服通学も許されてたし、髪色もとやかく言われなかった。
「楽しい高校生活が始まる」って、信じてた。


私は黒髪に金メッシュを入れて、男物の服を着て過ごしてた。
ボーイズライクな格好の影響でクラスの男子とはすぐに仲良くなれたし、女子も皆仲良くしてくれた。





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