欠点に願いを





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「作詞のトコに書いてある悠って、誰なんだろ?」


公園のベンチで、俺はココに質問した。
ココは歌詞カードを端から端まで見て、クレジットの部分を指差す。


「浩太さん、マネージャーですよ。此処に書いてありますって」


俺達は結局付き合うようになった。
ココは俺を、「浩太先輩」ではなく、「浩太さん」と呼ぶようになった。


今日は学校帰りに、公園デートしてる。
二人でベンチに座って、DEARの新曲を聴いてる。
気恥ずかしいけど。地味だけど。
俺とココが幸せなら、……まぁ良いんじゃないかと思う。


「浩太さん、お願いなんですけど」

「うん? 何?」


高い物を買って欲しい、とかじゃないよな?
普通に買えないぞ。


「浩太さんが大学合格したら、デートにどっか連れてって下さいね」

「……分かった」


普段は地味な公園デートだし、まぁ良いか。
ココが微笑む。


「お願いですよ?」


俺は返事の代わりに、ココの頭を撫でた。


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