欠点に願いを
駄目だ、喧嘩を売られるのは目に見えてる。
向こうは三人、こっちは二人で雪は戦力にはならない。むしろ、雪を守らなくては。
また前みたく、面倒な連中に殴られて、雪が倒れでもしたら。
……でも、足も遅い雪を庇う状態で、この連中から逃げ切れるかも保証は無い。
どうしよう? 少なくとも、雪だけは無傷で守り通さなくては……。
「……確かに俺は、二中の米本宏樹です。けど、俺達は特に用事無いんで。今もラーメン屋行くだけっすよ」
この場は正直に名乗って、下手に出て、悪意が無い事をアピールした方が良いだろう。
連中を出来るだけ怒らせないように、怒らせないように。
「じゃ、俺達は行きますんで」
トラブルは起こさないうちに退散するに限る。
あと5mで角、この角を曲がればラーメン屋はすぐだ。
「おい、ちょっと待てよ」
まだ何か有るのか。
俺達は何も用は無い。
振り返ると、連中の一人がニタニタと笑っていた。
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