欠点に願いを
「二中の宏樹なら、喧嘩がメチャクチャ強いんじゃなかったっけ? お手合わせ願おーぜ」
……貴様、それが手合わせを願う態度か。
ってか、このままじゃ雪も巻き込まれてしまう。コイツらに情け容赦は無いだろう。
かと言って、このままラーメン屋に逃げれば、ラーメン屋の店員や客まで巻き込んでしまう可能性もある。
コイツらは、「関係無い人は巻き込まない」くらいの常識も通用しなさそうだ。
俺は深呼吸をしてから、阿呆な高校生達を見た。
「…分かりました。一本 手合わせをしましょう。宜しくお願いしますね」
「宏樹?」
雪が不安そうな目で俺を見る。
俺は雪に微笑んで、「大丈夫だよ」と呟いた。
それだけで雪は分かったらしい。
俺はニタニタ笑う阿呆な高校生達が、心の底からウザかった。
「…意外と物分かりが良いんだな」
「最初からそうやって、俺達の言う事を聞いてりゃ良いんだよ」
全部が全部、貴様らの言う通りになると思うなよ。
.