欠点に願いを
「……確かに、もう捕まるのは嫌だなぁ~」
「だろ? じゃあ、こっち」
そう言って、俺達は歩き出した。
「……でも、ありがとう宏樹」
「何が?」
「宏樹だったら正直、あの高校生達を全員ボコボコにして、一人で逃げるくらい余裕だったんでしょ?」
…否定出来ない。
「……まぁな」
「でも宏樹は、僕を逃がす事を最優先にしてくれた。体も弱くて走るのも遅い僕なんて、逃げる時は足手まといだろうに」
「そんな事ねぇよ」
雪は首を横に振って、満面の笑みになる。
「僕は、それが嬉しくて仕方ないんだ。ありがとうね、宏樹」
「……大した事じゃねぇっての」
俺達は、ラーメン屋の暖簾を潜った。
.