欠点に願いを

VI

「…えーっと、こないだはお疲れ様でした！」

「何だよ雄一っ！ 面倒な挨拶ならいらないから」

「早く乾杯しよーよー」


雄一が取ろうとしている乾杯の音頭は、短気な部員達の声でかき消された。

今日は月曜日。土日にあった文化祭の代休だ。
俺達は部員全員で集まって、文化祭の打ち上げをしていた。

「じゃあ、カンパーイ!!」

「カンパーイ!!!!」


紙コップ同士がぶつかる情けない音がして、打ち上げは始まった。
高校生の打ち上げだからアルコールは全く無いが、勝手に盛り上がっていく部員達。

しかし、俺は自由に動く事が出来なかった。
文化祭の終了後に機材や小道具を片付けてる最中に、アルコールを摂取していた来校者に絡まれ、小道具を庇って立ち回っていたら捻挫してしまったからだ。
結果として左足首は腫れ上がり、歩く事は出来るがサポーターが欠かせなくなっていた。
……情けない。


そして俺は、今回の打ち上げで、一つ決心をしていた。
ココに想いを伝えよう。
文化祭が終わって引退したら、もう逢えなくなっちゃうから。






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