欠点に願いを





時計が5時を示した。
17時、今日のバイトの上がりの時間だ。

入れ替わりでバイトに入った高校生にレジを任せて、バックヤードで帰る準備をする。


「荻原さん」


声をかけてきたのは、バイトの先輩の高橋美紀(タカハシ ミキ)さん。いつも優しくしてくれる。
ゴミ捨てから戻ってきたみたい。


「何ですか?」


高橋さんには幼稚園に通うお子さんがいる。
幼稚園の行事で、またシフトを代わって欲しいのかな?


「さっきの金髪のイケメン、店の前で待ってたわよ」

「……金髪のイケメン、ですか?」


恐らく、それは。


「そう。“荻原さん、まだですか?”って聞かれたの。知り合い?」


……やっぱり。
健人だ。


「高校時代からの友達です」

「あらそう。待ってくれてるんだから、早く行ってあげなさいね」

「はい、お先に失礼します」


そう言って店を出ると、本当に健人が待っていた。





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