欠点に願いを

「……答えなきゃいけない？」

「嫌なら答えなくて良いけど、出来れば聞きたいな」


答えなくても良いのか。
でも、健人が知りたがってるなら答えようか。


「芸大を三浪して、四浪が決まった時点で諦めてバイトしてる。」


高校を卒業してからーーーー健人と別れてからを一言で説明するなら、こうなる。

あたしは広告デザイナーになりたくて、その為に芸大に進学しようとしていた。しかし、上手くいかずに何度も失敗して。
「芸大は三浪が常識」と言われていたのは一昔前までで。
四浪が決まったと同時に、父が倒れて入院しちゃったので。
あたしは諦めちゃったんだ。

で、今に至る。
因みに父の病気は完治し、今はまた元気に働いている。

それを説明すると、健人は残念そうな顔をしてぼやいた。


「そうか、もったいないなぁ。俺、悠のコト応援してたのに」





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