欠点に願いを
「それはありがとう。でも、もう疲れちゃったんだよ。勉強し続けるのも、夢を見続けるのも」
「無理はしなくて良いよ。悠のペースで頑張れば良いんじゃない? 心まで壊れちゃったら終わりだもん」
健人はこんな感じで、いつも優しい。
あの頃から、変わらず。
「……健人は最近どう? まだギター弾いてるみたいだけど」
さっきコンビニに来た時、弦楽器のケース担いでたからね。
「まだギター弾いてるよー。今度」
そこで健人は、何かを閃いたみたいな笑顔になった。
今度、……何だろう?
「どうしたの?」
「……いや、せっかくだから悠をビックリさせようと思って。まぁ、期待しててよ」
ビックリする事?
何だろう?
その後に注文していたメニューが運ばれてきて、その話は終わりになった。
健人は自身が注文していたパスタを、半分あたしに分けてくれた。
やっぱ、こうやって健人は優しいんだ。
あの頃のように。
.