欠点に願いを
時刻は午後5時、の少し前。
今日は週に一日だけの、休日。の筈なんだけど。
「……おはよーございまーす……」
無気力そうに挨拶して、バックヤードに着いた。
バイト仲間の高校生の試験スケジュールの都合で、あたしは代理でバイトに入ってた。
年に数回やってくる、恐怖の13連勤。
給料が増えるから良いんだけど。
「おはよう荻原さん」
高橋さんが売上を機械に入れて、算出していた。
それを横目に、ジャンパーに着替えて名札を付けて、髪を結ぶ。
「あ。そういえば、健人君だっけ? 金髪の彼」
「健人ですか?」
何かあったら、ケータイに連絡くれりゃ良いのに。
「そう。コレ、預かってるよ」
高橋さんはそう言って、茶封筒を差し出してきた。
受け取ってみると、表面に懐かしい字で“荻原悠様”と書いてあった。
「きっと直接渡したかったんでしょうね。居ないって伝えたら、ガックリきてたから」
直接会ってまで渡したかった物って、一体何だろ?
確認してみたいが、……休憩時間まで待つか。
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