欠点に願いを





仕事中も封筒の中身が気になって、仕事に集中出来なかった。
当然だけど健人から何かを貰ったのは高校の時以来だし、健人から貰ったのは“事”ばっかで“物”は少ない気がする。

しかも、健人から貰える物って、見当がつかない。


その日は何故かお客様がたくさん来て、結局休憩に入れずにバイトが終わった。
勤務時間が短かったから良いけど、労基法ギリギリな気がするし、茶封筒の存在の御陰で生殺し状態だ。


「……お疲れ様でーす…………」


ただでさえイレギュラーな出勤で、品出しと食品の廃棄物選別の筈が、人手が足りずに急遽レジ打ちに回り、おまけに休憩に入れなかった。
あたしはボロボロになりながら、何とか勤務時間を終わらせた。


「荻原さんお疲れ様~。廃棄から好きなだけ持っていって良いよ」


PCの前で廃棄のデータを入力していたらしい店長が、そう言って労ってくれた。






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