引っ込み思案な恋心。-3rd~final~





私達と別れたあゆの足取りが、心なしか重そうに見えた。





…本当にあゆ、怪談話苦手なんだな。。。








「柚、何買うの?」



「八ツ橋は絶対!あとは和柄の小物入れとか欲しいかも…」



「私も八ツ橋買ったよー。生のやつも固いやつもおいしいよね」



「え?固い八ツ橋なんてあるの?」



「柚、知らないの?シナモン味がしてあれもなかなかイケるよ」



「じゃあ買おうかなー」








映美佳とホテルの売店でお土産を買い込んだ後、新しく移ったホテルの部屋に戻ると、蘇我さんがテレビを見ていた。





そこで私は、さっき余分に買った生の八ツ橋を開けて、蘇我さんと一緒に食べた。





…その時、やっと距離感を感じることなく、他愛のないことが話せるようになったと思えた。






この短い修学旅行で、色んなことがあったけど…





私も蘇我さんもやっと、このクラスできちんと笑えた気がした。





出発する前は友達もいないしつまらないかも…なんて思っていたけど、最後の夜にこの旅行をかけがえのない思い出にすることができたんだ。













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