引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
04☆今以上にときめきを

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「あ〜、マジ勉強だりー」



「そうは言ってもうちら一応3年生だしね。こんな時期に怒られるような点数取れないよね」






ななっぺが拓のめんどくさそうな言葉にそう答えながら氷とお茶の入ったグラスを一口飲んで、カランと音を立てながらテーブルの上に置いた。








修学旅行から帰ってきてしばらく経って。





今度は中間テスト直前の時期に差し掛かった。





今日もいつものように拓の部屋にみんなが集まって勉強会。





だけど、今日のメンバーはいつもと違う。






「蘇我ぁ。そんな緊張すんなよ。いっつも柚と話してる感じでいーじゃん」



「でも…、こんなに集まって勉強するなんて初めてだから…」



「みんな私の友達だし、いい人だから!あーさんもリラックスしていいよ」






拓に言われて、隅の方で何故か正座をしていたあーさんが更に委縮してしまった。





あ、ちなみに『あーさん』というのはもちろん蘇我さんのこと。





下の名前が『麻美』だけど、特にあだ名もなかったらしくて私もしばらくは『蘇我さん』って呼んでたんだけど…





それを見ていた拓が「友達なのにおかしくね?蘇我、下の名前何てゆーの?」って私の前で聞いてくれて、その時に拓が聞き間違えて「あーさん???」って言ったものだから、あだ名も『あーさん』でいいじゃんってことになってしまった。





さすがに男子の拓は『蘇我』のまま呼んでるけど、私達は結構すぐに『柚』と『あーさん』で呼び方が馴染んだんだよね。





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