引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
私も…、実はものすごくドキドキしている。
もしかしたら拓以上に気持ちが高鳴っているのかもしれない。
だって…、さっきの拓の走りを見て、拓の並々ならぬ気合いを感じたんだもん。
もちろんいつも気合いを入れて走ってるのは見て分かるけど、今日の気合いはそれよりももっともっとすごいもの。
その証拠に、電光掲示板に示された拓のタイムを見ると、前に優勝した地区大会の時より更に速くなっていた。
走り終わって息が落ち着いた拓が、私の方に向かって手を振ってくれた。
私も笑顔になって拓に手を振り返す。
「瀬川くん、全然疲れてなさそうだね」
「まだ拓の出る競技が続くからね。でも…、やっぱり拓の走ってるところってカッコイイかも…」
「早くもノロケ!?それは瀬川くんが県大会出場できた時にしようよ」
「ごめんごめん」
初めて拓が本気で走るところを見たのは、中1の時の体育祭だった。
あの時から…、私は拓にドキドキしてた。
あの当時よりも拓はうんと速くなったけど、私は変わらずドキドキしている。
……ううん、もっともっと、拓にドキドキしているのかも。
その後も大会は続いていき…
拓は100mと200mで優勝、400mでは2位、リレーでは3位という成績を残した。
もちろん、県大会の出場は確定。