引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
「柚が大会あるたびに瀬川くんの応援に行く気持ちも分かったなぁ。あの走りは確かにカッコイイもん。いつも教室で騒いでる人には全然見えなかった」
「何か…、私が走ってたわけじゃないのに嬉しいな。おかしいかもしれないけど」
「でも、『柚のために走る』って言ってくれたんだよね?柚がいてこそ瀬川くんのあの走りが成り立ってるんだから、そう思ってもいいじゃん」
「ありがとう。今日の最後のリレーの時、1年の時の体育祭のリレー思い出しちゃった」
「ああ。今日、瀬川くんアンカーだったけど、2番目の人が抜かされちゃって一時は5位だったもんね。あれを3位に持っていく辺り、さすがだよね」
「1年の時も拓がアンカーでごぼう抜きして2位になったんだよ」
今日のリレーを見てて、1年の体育祭の時の映像が頭の中で重なっていた。
5クラス中4位にまで落ちたのに、拓が最後に二人も抜かして2位になった。
あの時…、恥ずかしくて応援できなかったのに、やたら興奮しちゃって、最後に拓に叫んでたんだよね。
みんなの声援もすごかったから、絶対かき消されたと思ったのに、拓には私の声が聞こえていたんだ。
だから頑張れたって言ってくれた。
驚いたけど…、ホントはすごく嬉しかったんだ。
私の声援が伝わっていて。