引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
05☆切ない距離感
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「ええっ!?瀬川、トレーニング行っちゃったの?」
「うん…。午前中は家にいて、私と準備してたんだけど、部活の友達から呼び出されちゃったみたいで…」
「どんだけ県大会に張り切ってんのよー」
期末テスト直前の土曜日。
拓の県大会出場が決まり、テスト前の部活制限期間にもかかわらず、拓はほとんど練習の日々で、今日しか拓の部活の休みがなかったから、勉強会の日も今日にしたんだけど…
部活の友達に「軽くトレーニングしよう」と呼び出された拓は、「夕方には帰るから!」と言い残して家を出て行ってしまった。
一番最後に拓の部屋に入ってきたあゆも目を丸くさせていたけど、「まっ、女子しかいないみたいだしいっかー」なんて呑気なことを言って座った。
…そう。
もう一人の男子メンバーのはずの倉本くんは、拓が誘ったにもかかわらず、また勉強会をパスしたらしい。
あかねちゃんも倉本くんの話題を一切出さないところを見ると、まだケンカしてるみたいだな…、この二人。
「でも、部屋は貸してくれたみたいだし、助かったよね」
ななっぺがあゆの分のお茶をペットボトルからグラスに移しながらそう言うと、映美佳も勉強の準備をしながら言った。
「まあね。教室借り切って勉強するよりはマシだね。去年そんなことあったねー、そういや」
「だいたい今から学校に行って先生に頼めないでしょ!」
あゆがななっぺの注いでくれたお茶を一口飲んでからそう突っ込むと、みんな大笑いしていた。