引っ込み思案な恋心。-3rd~final~

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「あっ、柚!ごめんね、急に呼び出して」



「私こそ。待たせてごめんね」



「瀬川ん家からでしょー?仕方ないよ」






ようやく待ち合わせ場所のいつもの喫茶店に着いて入口に入ると、私に気付いたあかねちゃんが席を立って声をかけてくれた。





私もそのテーブルに行き、あかねちゃんの向かいに座った。





そしていつものようにアイスティーを店員さんに頼んだ。






「そーいや電話切ってから思ったけど、もしかして瀬川、家に帰ってた?だったら邪魔して悪かったかなぁ」



「あ、うん…。でも拓も勉強しなきゃって言ってたから、大丈夫だよ」



「私いっつも自分のコトばっかりでさー。気ぃ遣えなくて、ホントごめん…」






あかねちゃんはやっぱり元気がなくて、すでにテーブルの上に置かれていたキャラメルミルクティーにもほとんど口がつけられてなさそうだった。






「でもあかねちゃんのこと、みんな心配してるよ。こんなにショック引きずってたら、テストどころじゃないんじゃ…?」



「ゴメン。確かに今日、ほとんど上の空だった。だけど、柚からもらった単語リストは覚えるよ」



「うん。範囲内のワークの問題とかもちゃんと解いてね。分かんない所あったら、メールしてもらえれば答えるから」



「ホント、何から何まで…。ありがとね」






力なく笑ったあかねちゃんに、私も微笑みぐらいしか返すことができなかった。





そこで注文したアイスティーが運ばれてきて、私はシロップを入れてストローでかき回してから一口飲んだ。





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