引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
「でも…、それ以上は今のところ…」
「そーなんだ…。ついに柚も……ねぇ」
「あかねちゃん、ちゃんと聞いてよ。それ以上はないんだから。拓には一応聞かれたけど…」
「え?何て聞かれたの?」
「だから…、『これ以上はまだ柚の準備ができてないよな?』…みたいに。またビンタされたくないから聞いたみたいだったけど」
「そっか、そーなんだ。瀬川も一応学習したんだね。しかも、柚の返事聞いて、待っててくれてるってわけでしょー?」
「うん…、まあ」
そう言えば、ちゃんとこうやって拓との身体の距離を話すのって、あかねちゃんが初めてかも。
さすがに彼氏がいない人の前だと話しにくい内容だし…。
ちょっと恥ずかしくて目の前にあったアイスティーを飲んでいると、あかねちゃんは遠くを見るように頬杖をついて話し始めた。
「私はさ、そんな感じじゃなかった。キスは最初からあっちからされてたし、その…、身体が触れ合うことも、雅樹の中ではキスの延長線ぐらいにしか思ってなかったのかもしれない」
「…どういうこと?」
「あの日…、修学旅行の自由行動の時さぁ、人気のないトイレに誘われたんだ。『あー、キスしたくなったのかな』ぐらいにしか思ってなくてついて行ったらさー…」
その後数秒、あかねちゃんの話が途切れたと思ったら、いきなりまた小声で話し始めた。