引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
「胸触られて、私の制服脱がし始めたんだよ?しかもそれを無言でやってきてさー」
「ウソ…、倉本くんが???」
「うん。目がマジで怖かった。いつもの雅樹じゃなかったもん。完全に野獣の目」
「それで…、あかねちゃんはどうしたの?」
「私も柚と一緒でさー、そこまでの心の準備はできてなくて。しかもトイレで初体験なんてイヤじゃん?だから必死に抵抗したってわけ」
何か…、信じられない。
倉本くんがそういう人だったなんて。
…というか、彼氏がいる私が聞いても、結構キツイ話だな…コレ。
「そしたら雅樹、急にキレだして。『キスはいいのに何でダメなんだよ?』って…」
「倉本くんには分かってもらえなかったんだ…?」
「うん。瀬川よりも雅樹の方が本能に突き進むタイプだったみたい。全然見抜けなかったなぁ〜、私」
「それでずっとケンカしてたんだ…」
それは確かにみんなの前では言いにくいよね。
あかねちゃんが倉本くんのことに関しては無言を貫いていたのも分かる気がする。
「でもずっとこんなコト続けててもしょーがないじゃん?だからおとといの放課後、雅樹を呼び出したんだ。雅樹にこれからどーしたいのか聞きたかったし」
「うん…」
「私、内心謝ってくれるコトも期待したんだ。でも…、雅樹の口から出たのは私の期待とは違ってた。『あれで冷めたから別れる』…って」
「えええっ!?そんな一言で終わっちゃったの?」
「うん。信じられなかったよ。私の意見とか聞く前に自分で答え出してたなんてね。その後、メールが届いたんだけど…」
「メール…?」
「『どーせホントの理由はみんなに言えないから、進路の違いってコトにしといて』だって。けっこーひどくない?」
「確かに…、ひどすぎるよ」