引っ込み思案な恋心。-3rd~final~





映美佳に怒られて携帯をスカートのポケットに戻したところで、ちょうど先生が靴箱の前の廊下を通り過ぎたから、映美佳の勘の鋭さにビックリしてしまった。






「間一髪だったね〜。でもこれで何かあっても相談に乗れるから。いつでも連絡してね」



「ありがとう、ななっぺ」



「こちらこそ。じゃあ気を付けて帰ってね」






ななっぺも優しい微笑みを残して帰っていき、私は映美佳と一緒に下校することとなった。










「どう?仲良くなれそうなコ、見つかった?」



「ううん…。ほとんど知らない人か、知ってても話したことがない人で……」



「そっか。1年の新学期の時と同様、苦戦してるみたいだね」



「あの時どうやってあかねちゃん達と仲良くできたっけ…?今思えばこの状態から女子の友達が3人もできたのって、奇跡に近い気がしてきた…」



「まあね…。それだけ柚が成長したってコトだよ。友達のついでに彼氏まで作ってるし」



「ついでって!!」






春の暖かく柔らかい日差しと爽やかな風が、私を勇気づけてくれているみたい。





だけど…、そんな自然からのエールさえ、私の心に届かない。





映美佳は私を『成長した』と褒めてくれたけど、私は本当にこの2年間で成長できたんだろうか?





今もこうやって2年前と同じ事で同じ様に悩んでるのに…。





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