引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
「へぇ〜。でもH高って私立じゃなかったっけ?チャレンジはできるんじゃない?それでダメなら親も諦めるだろうし。柚はH高受けるの?一緒に受ければいいじゃん」
「ええっ!?映美佳、無責任にそんなこと言わないでよ。私、H高対策の勉強全然してないし…」
「でもあの塾のAクラスなら、H高の過去問結構解かされてるって聞いたけど」
「そうだけど…、でも行きたい所、一応あるんだよね…」
「え!?そうなの?みんな私の知らないところでどんどん志望校決めてくから怖いなー。私、何気にまだ決めてないんだよね」
「え?映美佳の方こそもう決めちゃってるのかと思ってた。夏期講習、張り切ってたみたいだし…」
私が映美佳に驚きの声を上げていると、更に大きな声を上げながら驚いたあかねちゃんに、みんなの視線が集まっていた。
「…どうしたの、あかねちゃん?いきなり大声出さないでよ」
「あ、いやー…、ごめん。…てか、ななっぺ!それってホントの話なの!?」
あかねちゃんは声をかけてきた映美佳に軽く謝ったかと思ったら、さっきまで一緒に話していたらしいななっぺに激しく食い付いていた。
「え…、うん。……でもあかねちゃん、みんなこっち注目しちゃったけど…」
「だって…でも……ウソでしょ?ありえないよ」
「私もどこからの情報かは分からなかったけど…、合唱部内でも伝わってるから、たぶん相当ウワサになってるかも」
「何何?何の話なの?全っ然、内容が読めないんだけど!!」
あゆもあかねちゃんの大声に反応してしまったらしく、話に入ろうとしたんだけど、あかねちゃんとななっぺは困った顔をして黙り込んだ。
「おいおい。どーしたんだよ!?馬場に何かあったのか?ウワサになってるなら、ほっといてもどーせ俺らに伝わるぞ」
数秒沈黙が続いて、拓がそう声を上げると、ななっぺがやっと重い口を開いた。
「…あかねちゃんと倉本が別れた理由についてなんだけど……」
「えっ?」