引っ込み思案な恋心。-3rd~final~





「マサと馬場は、何で仲直りできなかったんだろうな」



「私とななっぺが出した結論は、たぶん最初から二人の気持ちのバランスが取れてなかったんじゃないかな…って」



「気持ちのバランス……。重さの問題?方向性の問題?」



「重さ、かな。あかねちゃんはホントに…、きっと今も倉本くんのことが好きなんだけど、倉本くんは『好きになれそう』って感覚だけで付き合ってたんじゃないかな」



「なるほどなー。だからこそ馬場は身体のコトとかもっとマサに大事にしてもらいたかったのかもな」



「うん…。でもこんなことウワサになっちゃってたら、二人とも学校に来づらいんじゃ…?」



「マサは大丈夫だろ。元々ウワサとか気にするようなヤツじゃないし。問題は馬場だよなー。今日の様子見る限り、ヤバくねーか?」



「うん…」






あの出来事を拓に知られたってだけでもかなりショックみたいだったし、夏休み明けて学校中に知られてるとなると…





私なら耐えられないかも。







「…まあ、柚もあんまり気にすんなよ。ずっと仲良かった馬場に疑われて傷ついてるのはよーく分かってるけど…、アイツの勘違いなんだし、ほっとくしかねーだろ」



「放っておくのもちょっと…。ウワサの出所を調べて、誤解を解けないかな?」



「あんま無茶すんなよ。俺も色々探ってみるけど、やっぱ柚まで疑ってるとなると、馬場の心も相当ヤバくなってるだろうし…、そっち解決する方が先のような気もするけど」



「そうだよね…」






でもきっと、今の状態のあかねちゃんは私の問いかけには答えてくれないんじゃないかな…?








拓と家の前で別れた後、わずかな望みを託して、あかねちゃんにメールを打ってみたけど、その返事が返ってくることはなかった。













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