引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
「私もさー、最近志望校決めたんだよね」
「えっ!?映美佳も?」
「うん。そういやこの前柚の志望校聞けなかったけど、どこ?私は県立のR高校」
「R高!?マジで???」
「私は…、A高校。一応推薦も狙ってみようとは考えてるんだけど」
「みんな決めるの早過ぎー!でも柚なんてもっといい高校狙えるじゃん!何でA高!?」
「拓と一緒の高校行きたいから、話し合って決めたんだ。それにやりたい部活もあるし」
「へぇ〜。私はね…、不純だとは思うけどさ…」
「え?」
そこで一瞬映美佳が黙ったと思ったら、少し小声になってR高の理由を教えてくれた。
「塾の同じクラスでさ、憧れの人…、見つけちゃった」
「え…、えええーーっ!ウソ!?」
「あゆ、声が大きいよ」
私ももちろん驚いたけど、完全にあゆの驚きの声にかき消されてしまった。
でも…、映美佳は私が知る限りそんな恋の話とか全然しなかったのに、ついに好きな人ができたんだ…?
「ちょ…っ、誰誰?柚も気になるよねぇ?」
「うん。もちろん」
「ふふふ…。私がこんな話するなんて驚いたでしょ。実は8月に入ってからいいな…とは思ってたけどさ、他校の人みたいだし、接点なかったんだよね」
「他校の人!?」
「うん。ところが前の講習の時かな。その人が友達と志望校について話してて、その時にR高目指してるって知ったんだ」
「へぇ〜〜。でもR高なら、映美佳のEクラスならちょっと勉強すれば手が届く感じ…なのかな?」
「でしょ?家からもまあまあ近いし、条件はバッチリだよね」
「その人…、カッコイイの?」
「カッコイイのも少しあるけど…、前に席が混んでて私とあかねちゃんがバラバラに座るかってなった時に、あかねちゃんの座る予定の隣の席にその人が座ってて、私に譲ってくれたことがあったんだ。優しい人だな…って」
「カッコ良くて優しいのか…。理想的だね」