引っ込み思案な恋心。-3rd~final~

―――――
――










結局あかねちゃんは夏期講習に姿を現さないまま9月になり、新学期に突入した。






「A高校…A判定かぁ。さすが柚だね」



「何かこういう風に合格の可能性が目に見えて分かるのも怖いよね…」



「そうかな?目標ある人にはありがたいと思うけど。……あっ。H高校も判定してもらったんだ?C判定?」






始業式が終わって少しの休憩時間。





私は教室であーさんに頼まれて、この前の夏期講習の最終試験の結果を見せていた。





あーさんは夏休み中ずっと家庭教師だったから、こういうのがうらやましいらしい。





…だけど、今月から毎月のように学校でも実力テストがあるし、それでも同じように志望校の判定してくれると思うんだけど…。






私のH高校の判定に少し驚いたらしいあーさんは、視線を結果表から私の顔に移してきた。






「…うん。塾の先生曰く、Bに近いC判定らしいけど。今の時期にこれぐらいの成績でも受かる人はたくさんいるみたいに言ってたけど、受けるかどうか悩んでるんだよね…」



「柚でもC判定なのに、私だったら何判定になるんだろ?もう…親にはいい加減H高諦めてほしいよ」



「一応親には話してるんでしょ?I高に行きたいって…」



「うん。しかも村尾先生にあれだけ言われても、H高ダメならI高でもいいよって感じで、基本第一希望はH高なんだよね」



「それは辛いね…」






思わずため息がこぼれたあーさんを見てると、何となく苦労が分かる気がするよ。





受かる可能性は低そうだって自分で分かってるのに、家庭教師まで付けられてH高対策の勉強してるなんて。





< 177 / 281 >

この作品をシェア

pagetop