引っ込み思案な恋心。-3rd~final~





あゆが「あかねちゃんが休んでいる」と教えてくれた翌日に、あかねちゃんは学校に姿を見せてくれた。





だけど、ケンカをしてしまったらしいななっぺとはもちろん、ななっぺと行動している映美佳とまでしゃべらなくなってしまった。





そんな日々が、今日までずっと続いている。






「ななっぺも相当悩んでるみたい。…柚もだけど、ウワサなんて当然流してないわけだし、どうしたらいいのか分からないでしょ?」



「拓も色々聞いてみてくれてるけど、ウワサの出所がホントに分からないんだよね…」






結局、あかねちゃんとどう仲直りしようか考えると、『ウワサの出所』でつまずいてしまう。





それが分からない限り、私とななっぺの疑いが晴れないわけなのだから。






「…まあ、今日は最後の体育祭じゃん!?楽しんでいこうよ。柚はやっぱり瀬川の走りが楽しみなんでしょ?」



「うん。あとは応援合戦かな。練習で何度も見てるけど、応援団長してる拓はカッコイイと思っちゃうよ」



「朝からノロケ〜?私も『憧れの君』の学校の体育祭に潜り込んじゃおうかなー」



「『憧れの君』!!はははっ」



「あんま笑わないでよー。本気なんだから」






好きな人ができると映美佳がこんなに乙女になるとは思わなかった。





好きな人のこと、『憧れの君』って呼んじゃうなんて。






夏期講習が終わってからは全く接点がなくて会ってないみたいだから、映美佳はただ彼の志望校とされるR高校を目指して頑張るしかない。





現に映美佳は、体育祭の準備で帰ってきたらクタクタになってるハズなのに、ちゃんと毎日受験勉強を続けているらしい。





映美佳のこんな努力…、実を結ぶといいな。













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