引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
「あとは…、あゆか」
「もうすぐ来ると思うけど。5組、極秘で応援合戦の最終練習してたみたいだから」
「マジかよ!?どのクラスも気合い入ってんなー。俺らもやれば良かったか?」
「さすがに昼休みまで潰したらみんなから不満出るんじゃない?」
ななっぺから5組のそんな情報を聞いた拓は、1組の応援団長として昼休みに練習しなかったことを悔やんでいたみたいだけど…
私達は放課後暗くなるまで残って、一生懸命やったんだから、そこまで練習しなくても。。。
そうやってみんなで立ち話をしていると、数分もしないうちにあゆがやって来て、私達は涼しい空き教室に場所を移してお弁当のフタを開いた。
「5組どんだけ応援に気合い入れてんだよ?抜け駆けじゃねーのか?」
「は?何の話?」
「とぼけんなよ、多田!極秘で練習してても俺にはバレバレなんだよ」
「え?うちのクラスが何やってようが、1組には関係ないでしょー」
あゆは極秘練習のことを私達の前では言わなかったけど、拓は「抜け駆けだ」とずっと言っていて、あゆと口ゲンカしていた。
そんな様子を、私達他の女子は苦笑いしながらお弁当を食べていたんだけど…、そんな時だった。
ブー、ブー、ブー
誰かの携帯電話のバイブの音が響き渡った。
「おいっ、誰だよ!?体操服にケータイ突っ込んでると、壊れるぞ」
「あっ、ごめん。私ー」
その携帯のバイブを感じ取ったのは、映美佳だった。
映美佳はみんなに軽く謝りながら、携帯の画面をチェックした。