引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
「あっ、あかねちゃん…」
あーさんが小さな声でそう言うと、みんな一斉にあかねちゃんの方に向いた。
「馬場、何でそんなトコに突っ立ってんだよ?空いてる席あるんだから座ればいーだろ」
「え…、あ…うん」
拓にそう言われて、ようやくあかねちゃんはあゆの隣の空いている椅子にゆっくりと腰をかけた。
すると、あゆが静かな空気の中、あかねちゃんに話し掛けた。
「あかねちゃん、うちらに何か話があるからこっちに来たんじゃないの?それとも向こうのグループに仲間外れにでもされた?」
「いや…仲間外れとか、そんなんじゃないよ。そーじゃなくて…、最近一緒にいた人達からちょっと聞いたんだ」
「え?何を?」
あゆにそう聞かれると、あかねちゃんは次の言葉を少し言いにくそうにしながら、私とななっぺの顔をチラリと見てきた。
「どうしたの、あかねちゃん?言いたいことあるならハッキリ言ってよ。私と柚に用事なんでしょ?」
あかねちゃんと目線が合ったななっぺは、痺れを切らしたようにあかねちゃんを急かした。
するとあかねちゃんは意を決したように机の上にお弁当箱を置いて、そのまま両手に拳を作った。
「……ごめん。私、柚とななっぺのコト勝手に疑って聞く耳持ってなかった。二人のコト傷つけて、謝って済むなんて思ってないけど…」
「…あのさ、あかねちゃん。別のグループの友達から一体何を聞いたの?」
そこで映美佳があかねちゃんに疑問をぶつけた。
…確かに私も気になる。
どうして急にあかねちゃんが私達に謝る気になったのか。
さっき、友達から何かを聞いたって言ってたけど、その内容は何だったのか…。