引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
私は確か…、あの喫茶店で2回、あかねちゃんの話を聞いていると思う。
2回とも私はあかねちゃんをなだめるのに必死だったから、他のお客さんなんて全く見てなかった。
まさか…、こんな話を聞いてた人がいたなんて。
「え?ちょっと待ってよ。竹内さんはそれ知ってたの?知ってて1週間?…ぐらい、あかねちゃんと仲良くしてたってコト?」
あゆがあかねちゃんにそう聞くと、あかねちゃんは慌てて「違う違う」と右手を振った。
「昨日知ったんだって。彼氏に私と最近よく話すって言ったら、そんなこと言ってたらしいんだ」
「信じられない…。聞き耳立ててるのも有り得ないけど、面白がってウワサ流すその男子達の神経が…」
ななっぺがそんなことをつぶやいて、みんなも「うんうん」と深くうなずいた。
「同じ男子の俺でもサイテーだと思うなぁ。人の不幸をウワサにするなんて」
「でも…、ななっぺと柚がウワサ流してないって証明できて良かったね」
あーさんが静かに微笑みながら私の方を見てきた。
私もあーさんに微笑み返して、次にあかねちゃんの顔を見た。
「あかねちゃん…、これからどうしたいの?」
私があかねちゃんにそう問い掛けると、あかねちゃんは席を立ち上がった。