引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
「柚とななっぺと、ちゃんと仲直りしたくて来たの。もちろんみんなにも迷惑かけたし、謝りたい。竹内さん達には話はして来てるから…」
「でも、元はと言えば馬場の勘違い…というか激しい思い込みが原因だろ?そんな簡単に許せる問題じゃないぞ」
「それは分かってるよ、瀬川。分かってて…それでも謝るしかないと思って来たんだから。みんな、本当にごめんなさい!!」
あかねちゃんは、私達に向かって深々と頭を下げた。
そしてもう一度、教室に響き渡る大きな声で「ごめんなさい!!」と謝った。
みんなはただ…、黙ってそれを見るしかなかった。
数秒の沈黙の後、ななっぺがゆっくりと口を開いた。
「あかねちゃんの気持ちは分かったよ。でも一つだけ聞いていい?」
「え…?」
あかねちゃんがゆっくりと頭を上げると、ななっぺは「まあ座って」とあかねちゃんを席に座らせた。
「倉本への想いは吹っ切れたの?別れてからだいぶ経つし…、そろそろ踏ん切りつけないと。そうじゃなかったら、また同じこと繰り返しちゃうよ?」
「うん…。実は午前中、徒競争で並んでた時、たまたま倉本と目が合って…、ちょっと話し掛けてみたんだ」
え?
徒競争の時…、そんなことがあったんだ?
倉本くん、競技が終わってクラスのテントに戻ってきても、いつもの感じだったから、全然知らなかった…。