引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
「クラス替え、楽しみだね〜♪」
「そうだね。誰と同じクラスになれるかな?」
「私は少し憂鬱かも…」
「また柚はそんなコト言ってるの?いい加減成長しないとー」
あかねちゃんはクラス替えが楽しみみたいだけど、私は反対に、学校に一歩ずつ近づく度に憂鬱さが増していく。
…と言うのも……。
私は極度の、と言ってもいいくらい、人見知りで引っ込み思案な性格。
そんな性格なのに、こうやって友達に囲まれて登校出来てるのは奇跡に近い感じさえするんだけど…
ネガティブなコト言ったら、やっぱり隣で歩く映美佳にたしなめられるし。
映美佳は私と一番付き合いが長い友達なだけあって、私のそういう性格が出てくると、すぐに注意してくれたり、時には怒ってくれたりする。
でもちゃんとフォローもしてくれるし、実は私も映美佳のことは一番信頼していたりするんだ。
「はははっ!また映美佳、柚のお母さんになってるよー?」
「あかねちゃん、笑い事じゃないって。柚、来年はうちら高校生だよ?さすがに高校までは一緒じゃないかもしれないし、助けてあげられるのもあと1年かな…」
「そうだよね…。分かってるんだけど…」
「まー、ソコが柚のいートコでもあるじゃん?無理に直したら柚じゃない気がして、私はヤだなー」
「ありがと…、あかねちゃん」
「あかねちゃんは、柚を甘やかせ過ぎだよ!」
そうこう言っているうちに、ついに学校に到着してしまった。
校庭をピンク色に染める桜の花達が、私達を出迎えてくれる。
…桜を見ると、自然と緊張感が走った。
毎年見てるけど、やっぱり私の中で桜は『新学期=クラス替え』のシンボルの一つなんだ。