引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
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「綱引き残念だったなー。2位か」
「あかねちゃん達4組に負けちゃったからね」
「4組、かなり強かったよねー」
私とあーさんは綱引きが終わってクラスのテントに戻り、その前方を陣取って応援していた拓と倉本くんに合流した。
あかねちゃんは竹内さん達と綱引きに出てたけど、円満で竹内さん達グループと離れたみたいで、綱引きの合間にも楽しそうに話していた。
「馬場の力が強かったんじゃね?火事場の馬場力…?だっけ???」
「……それを言うなら、火事場の馬鹿力、だろ?」
それまで涼しい顔で黙ってグラウンドの競技を見ていた倉本くんが、いきなり拓に突っ込みを入れてきた。
それを見ていたあーさんはかなり驚いていた。
「あっ、あのさ…倉本くん。あかねちゃんと徒競争の時話したって聞いたんだけど…」
驚いて思わず倉本くんに対してそう聞いてしまったあーさんは、倉本くんがチラリとあーさんを横目で見てきたのに焦ってしまって「ごめん!」と言った。
あーさん…。
私や拓でもなかなか聞けなかったのに、結構大胆。。。
「何?お前ら最近馬場と話してなさそうだったけど、もう平気なわけ?」
「ああ…、さっき馬場が柚達に謝りに来てた。…だろ?柚」
「え…、うん」
何か…、一気に変な空気になっちゃったよ。
あーさん、まだ倉本くんにビビっちゃってるみたいだし。
でも、そんなあーさんの様子を見ていた倉本くんは、突然フフッと笑いだした。