引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
「……面白いな、蘇我って。まともに話したことなかったけど、今度の勉強会には顔出そーかな」
「えっ?マジか?マサ」
「ああ。…蘇我の言う通りだよ。ちゃんと馬場には謝って話つけたから、たぶん問題ねーだろ。体育祭終わったら勉強にも本腰入れたいし、俺もきちんと勉強会参加する」
それを聞いた拓はかなり喜んでいた。
私も…、やっとメンバー全員が揃うことができそうで、かなりホッとした。
あーさんの大胆発言が、意外にもいい方向に行っちゃったのかも。
「ところで杉田って志望校どこ?夏期講習の時聞こうと思ってたけど忘れてたから」
「え?私はA高校だけど…」
「A高!?H高じゃないのかよ?H高なら過去問とか色々聞けると思ってたのに」
「倉本くん、H高目指してるんだ…?」
そう言えば私も今まで倉本くんの志望校を聞いてなかったかも。
H高対策の問題集を持ってるみたいだったから、何となくそれなりの高校は目指してるんだろうな…とは思ってたんだけど。
その時。
「倉本くん…H高なんだ……」
ポツリと言ったあーさんの一言を、倉本くんは聞き逃していなかった。
「蘇我は?まさかH高じゃないだろうな?」
「えっ!?いや…行けるとは全然思ってないんだけど、親がどうしても行けって……」
「マジかよ。杉田とカブってるなら驚かなかったけど、蘇我とカブってるとはなー」
珍しく倉本くんが驚いた表情になって、今度は拓の肩を掴んできた。
「そーいや拓もA高行きたいとか言ってたよな?お前と杉田、合わせてきたってコトか?」
「まーな。村尾ちゃんに言ったら、A高のスポーツ推薦どーにかしてもらえそーだし、あとは柚の推薦がどうなるかって話だよな」
「え?杉田、A高推薦で行くつもりなのか?」
「うん。私も先生に話はしたけど、まだ推薦出るかどうかは決まってなくて…。ダメでも一般で受けるつもりだから」
「…誰も実力相応の所には行かねえんだな。人の考えてるコトって分かんねえもんだな」