引っ込み思案な恋心。-3rd~final~





確かに…。




私はA高じゃなくてH高校を勧められたし、拓も最初はT学園高校から誘われていた。





それにあーさんはI高校に入りたいのにH高校受けさせられそうになってるし…。





倉本くんの言う通りかもしれない。







誰かから「あなたの力ならこの高校です」って言われても。




逆に自分の実力が分かっていて行きたい高校があっても。






そんな簡単にみんなが実力通りのレールの上には乗らないものかもしれない。






私もH高が志望校じゃないなんて言うと、私の成績を知っている人には結構驚かれるんだけど、別に私自身は何も感じていない。





今の選択が間違っているとは思わないから。





拓と同じ高校に通って、放送部でアナウンスを学ぶことができれば、私の目標は達成できるんだから。








「まっ、それが人生ってヤツだろ。俺は最後の大イベントに向かってウォーミングアップでもしてくっかな〜」



「え?もうリレーの時間近付いてるの?拓…応援してるからね」



「サンキュー、柚!今度こそ1位は1組がいただきだな!!このハチマキ…ずっと借りてたけど、柚の力借りたいから終わるまでこのままでいい?」



「もちろん!」






4人で色々話していたら、いつの間にかプログラムは終盤を進んでいたらしく、最後の学年別リレーも刻々と近付いていた。





拓は結局ずっと私のハチマキを頭に巻いたままで、私も拓のハチマキをつけたままだった。





拓は「軽く走ってから入場門に並んでくる」と言い残し、さっきの応援合戦に匹敵するくらいの気合いオーラを放ちながらテントを後にした。













――
―――――

< 205 / 281 >

この作品をシェア

pagetop