引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
確かに…。
私はA高じゃなくてH高校を勧められたし、拓も最初はT学園高校から誘われていた。
それにあーさんはI高校に入りたいのにH高校受けさせられそうになってるし…。
倉本くんの言う通りかもしれない。
誰かから「あなたの力ならこの高校です」って言われても。
逆に自分の実力が分かっていて行きたい高校があっても。
そんな簡単にみんなが実力通りのレールの上には乗らないものかもしれない。
私もH高が志望校じゃないなんて言うと、私の成績を知っている人には結構驚かれるんだけど、別に私自身は何も感じていない。
今の選択が間違っているとは思わないから。
拓と同じ高校に通って、放送部でアナウンスを学ぶことができれば、私の目標は達成できるんだから。
「まっ、それが人生ってヤツだろ。俺は最後の大イベントに向かってウォーミングアップでもしてくっかな〜」
「え?もうリレーの時間近付いてるの?拓…応援してるからね」
「サンキュー、柚!今度こそ1位は1組がいただきだな!!このハチマキ…ずっと借りてたけど、柚の力借りたいから終わるまでこのままでいい?」
「もちろん!」
4人で色々話していたら、いつの間にかプログラムは終盤を進んでいたらしく、最後の学年別リレーも刻々と近付いていた。
拓は結局ずっと私のハチマキを頭に巻いたままで、私も拓のハチマキをつけたままだった。
拓は「軽く走ってから入場門に並んでくる」と言い残し、さっきの応援合戦に匹敵するくらいの気合いオーラを放ちながらテントを後にした。
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