引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
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こうして倉本くんとあーさんと3人でクラスの応援をしていたんだけど、意外にも倉本くんとあーさんがよく話していたので、少し驚いた。
私も最近倉本くんとは拓を介してしか話してなかったし、話を盛り上げる拓がいなくなったら、3人で静かになっちゃうかも…なんて不安に思っていたから。
「へぇ〜。蘇我の家も大変だな。よくいるよな。子供の受験の成功が生きがいの親って」
「倉本くんは誰に言われるでもなくH高目指してるの?」
「ああ…。俺、大学入りたいから。具体的に大学で学びたいコトはまだ決めてねーけど」
「大学かぁ。きちんとした目標があるんだね」
こうやって客観的に倉本くんとあーさんの会話を聞いていると、もしかしたらこっちのカップルの方がしっくりくるんじゃないかと思ってしまう。
…というか、あかねちゃんと倉本くんのカップリングが意外過ぎて、二人でいるところとかあまり想像できなかっただけなんだけど。
「……杉田?何ボーッとしてんだよ?次、3年のリレー始まるぞ」
「え!?うそ?」
そんなことを思っていたら、いつの間にか拓がグラウンドのトラックの内側でアンカーの証である緑色のタスキをかけて屈伸運動をしていた。
しかもすでに3年生の第一走者がスタートラインに並んでいる。
…あ。
あゆ、第一走者なんだ。
バトンを手に持って先を睨みつけるその姿を見て、拓と同じくらい並々ならぬ気合いを感じた。
パンッ
空砲が鳴らされると同時に、あゆ達第一走者は一斉に走り出した。