引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
あゆ…、スタートダッシュめちゃくちゃ速い!!
そのままあゆが2位に2人分くらいの差をつけて、1位で第2走者にバトンタッチした。
今年はもちろんバトンは落ちることなくスムーズに渡った。
そしてうちのクラスは…4位。
うちのクラスもかなり速い人揃えてきてるんだけど、他があまりにも速すぎて全然追いつけないみたいだった。
「うわぁ…。みんな頑張ってるけど厳しいかな…」
隣でリレーを見ていたあーさんもそんなことをつぶやいていたけど、私はただただ祈る気持ちで「1組頑張れー」と声援を送り続けた。
レースはついに第4走者へ。
この時点で1位は5組で2位は4組、3位は2組。
うちのクラスは4位なんだけど…
1位から3位までがダンゴ状態になってて、追いつくことができれば一気に抜き去って1位になることも可能だと思う。
「あとは拓だけだな」
「拓なら絶対1位になってくれるよ」
1位から3位のクラスが立て続けにアンカー走者にバトンを渡していき、少し遅れてついに拓の手に緑色のバトンが渡った。
きっと…拓は信じている。
自分が1位になれることを。
だから、私も一緒に信じるよ。
絶対拓は1位になれる。
一番最初にゴールテープを切ってくれる。
他の走者はトラックを半周するんだけど、アンカーだけはトラックを1周する。
だから…足の速い拓なら絶対追いつける。