引っ込み思案な恋心。-3rd~final~





「すごい拓!ホントに1位取った!!」



「さすがは全国大会にも行った瀬川くんだね。バトンもらった時は4位でも、ぶっちぎりで1位取ってるんだもん」



「おい、拓が1位取ったから、1組優勝じゃねーか!?」



「え?うそ!?」






あーさんと1位の喜びに浸っていたら、いきなり倉本くんからそんなことを言われて、私は得点表示板を見た。





そこにはリレーが始まるまでの各クラスの合計の点数が書かれている。





うちのクラスは2位だったけど…、1位の5組とは20点しか差がなかった。





5組は最後で一人抜かれて3位になったから…





確かに、優勝確定かも……!







『優勝』という2文字が頭の中をよぎって、結果発表を楽しみにしながら閉会式のためにグラウンドに歩いていると、リレーを終えたばかりの拓が私の肩を叩いてきた。






「柚!やっと1位取れたー」



「拓、お疲れ様。追い上げすごかったね。カッコ良かったよ」



「柚にそー言ってもらえればマジ走った甲斐あったな〜。俺、もちろん1位になるために走ってたけど、柚のためにも走ってたし」



「拓…」






拓は1年の時のリレーでギリギリ一人抜けなくて悔しい思いをしていた。





2年の時は倒れた私の看病をしてて走ってすらいなかったし……






中学最後の年、やっとやっと雪辱を果たすことができたんだよね。







「最後1位で終われてスッキリした〜。これで体育祭に思い残すことはもう無いな」



「そうだね。拓も私も…みんなも一生懸命頑張ったもんね」






私も、拓と同じ気持ちだよ。





自分でもビックリするくらいの声を出して拓を応援できたこと。



それに拓が応えてくれたこと。





嬉しくて、嬉しくて。





後悔するようなことなんて何もないくらい、最後の体育祭を楽しめた。





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