引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
あーさんはクルクルと回していたシャーペンの動きを止めて、目の前にあったH高校対策の問題集をペラペラとめくり始めた。
…すると。
私達が座っていた机の下に、何か小さな紙切れが滑り込んできた。
「あれ?さっき紙が落ちてこなかった?」
「え?気付かなかったけど……」
問題集の中身に気を取られていたあーさんは、紙切れの存在には全く気付かなかったみたいで、そのまま問題を解き始めた。
それでも紙切れが机の下にあると確信した私は一旦席を立って、その場にしゃがみ込んだ。
やっぱり。
私の足があった所辺りに何か紙が落ちてる。
私はその紙を拾って立ち上がった。
そして、紙に書かれた内容を読んだ。
「あれ?これ……」
そこに書かれていたのは、『進路希望票』。
でも、クラスと名前しか書かれていない。
そしてその名前は……3年5組、多田歩美。
「あっ、すいませーん。そっちに紙が……って、柚!?」
「あゆ……」
びっくりしたーー。
あゆも図書室で勉強中だったんだ?