引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
クリスマスイブの日に雪が降ったところなんて、人生で初めて見たかもしれない。
しかも、拓と見られるなんて…
神様からの嬉しすぎるプレゼントだよ。
「何かいーことあるかもな」
「そうだね」
「積もるかな〜?さすがに無理か」
私が「あははっ」と笑うと、雪の欠片が鼻の上に落ちて少し冷たかった。
すると拓が鼻の上に解けた水滴を手でぬぐってくれて、私達はそのまま軽くキスをした。
…どんなに寒くても、拓の唇はあたたかいね。
「あったかい…」
唇が離れた後、私がポツリとそう言うと…
「俺の唇は柚をあっためるためにあるからなっ!」
「何かそれ…どこかで聞いたセリフ……」
「俺は柚のためにいるってコトだろ?」
私も…拓をあたためたいよ。
だから、また一歩近付かなくちゃ。
怖さを恐れなければ、きっと拓は応えてくれる…こんな私の気持ちに。
ハラハラと落ちる雪を見ながら、私は『拓の気持ちに応えたい』って…静かに思った。
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