引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
何度も練習した質問だ。
私は少しうなずいて、練習した通りの答えを頭の中で思い出しながら口に出した。
「私は高校生になったら放送部に入ってアナウンスの勉強をしたいと考えています。そのために放送部の活動が盛んで、放送のコンクールでも毎年のように入賞しているA高校の放送部に魅力を感じて入学したいと考えています」
ふぅ。
何とか言えた。
とりあえず一安心だけど、面接は始まったばかり。
まだまだ緊張が解けない。
「なるほど…。よく調べていますね。確かにうちの放送部はアナウンスでも番組制作でもとても頑張っていますが…、もともと放送部員かなにか?」
「いえ…、私の中学には放送部はありません」
「じゃあどうしてアナウンスをしたいと思ったのですか?」
「2年生の時に合唱コンクールの実行委員の仕事で司会進行をしました。その時にアナウンスの仕事に興味を持ちました」
うぅっ、結構突っ込まれるな…。
だんだんこの人達が怖く見えてきた。
次に何を聞かれるのか…、想像がつかない。
「うんうん。実行委員をやってたんですね。では中学校3年間を通して、部活や校外活動など、熱中していたことを教えて下さい」
「え…」
ヤバイ…
部活も校外活動も、特にやってない。。。
どうしよう。
この質問にはどう答えればいいんだろう?
「あの…部活とか校外活動は特にやってなかったんですけど…。でも勉強を頑張っていました」
私がこの3年で頑張っていたものと言ったら…どう考えても勉強ぐらいしかない。
何でこんな時に限って、こんな質問……。