引っ込み思案な恋心。-3rd~final~





つい先日まで陸上部でトレーニングをしていた拓。





1年の時はそんなに身長の差がなかったように思ってたのに、拓の身長はいつの間にか見上げなくちゃいけないくらいスラリと高くなってしまった。





それに加えて毎日のトレーニングの成果なのか、体つきもガッシリしている気がする。





そんな私の視線に気付いたのか、拓は私に一瞬だけ微笑んでくれた。





…少しだけ、不安が消えたような気がする。











「………みんな、合格おめでとう」






少しの間があって、村尾先生は私達にニッコリと微笑んだ。






「え…?」






そして何故か…、意外な顔をしたのは私だけだった。






「ここにいる4人は、みんな合格していました。これから入学手続きに必要な書類を配るわね。名前を呼ばれたら受け取りに来て下さい」






ウソ……



ウソでしょ???





私…、A高に合格しちゃったの!?






「…じゃあ次は、瀬川くん」



「やった〜。村尾ちゃん、マジで俺合格?」



「合格だけど…、瀬川くん、高校生になったら先生にタメ口はやめようね」



「受かったぁ〜!陸上やってて良かったー!!」



「人の話を聞きなさい、もう…」






拓は本当に嬉しさ全開の笑顔で、村尾先生から大きな封筒に入った書類を受け取っていた。





もう他の二人の合格者は書類を受け取ったから、次に呼ばれるのは……






「次、杉田さん」



「はい…」



「よく頑張ったわね。合格おめでとう」



「ありがとうございます」





拓と同じ、『○○県立A高等学校』という文字が入った大きな封筒を受け取ったけど、それでもいまいち実感がわかない。





あんなダメダメな面接だったのに…




私なんかが合格しちゃっていいの?





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