引っ込み思案な恋心。-3rd~final~





「でも県立の発表の前に卒業式しようなんて考えがねぇ…。確かに不合格だったのに『おめでとう』とか言われたくないけど」



「県立の一般の発表日は明日だっけ?」



「うん。緊張するよね。一応滑り止めでS女受かって良かったけどさ」






あーさんは結局、H高校には受からなかった。





何故か私の方がH高に受かってしまって、どう励ましていいのかも分からなかったんだけど、本人は「どうせ親だけの希望だったし」とあっけらかんとしていた。





一応S女子高校の普通科進学コースには受かったみたいで、あとは先月受けた県立I高校の結果待ちという状態。






「I高校…受かるといいね」



「うん。私からすれば、こっちの方が本命だからね。なんだったら明日の合格発表、柚もついてくる?」



「ううん…遠慮しとくよ。万が一のこともあるし。それに拓の家で準備しないといけないから…」



「ああ〜、卒業パーティーするんだよね?楽しみにしてるー」






実はA高校に合格した後、拓と密かに考えていた。





いつもは拓の家に勉強会で集まっていたけど、最後ぐらいは勉強なしでみんなと盛り上がりたいって。





それで思い付いたのが、拓の家で卒業パーティーをすることだった。






明日は拓と私と、あとは私立一本で受験が終わっている人達と部屋を飾ったりお菓子を作ったりして準備する予定なんだ。






「杉田と蘇我ー。卒業アルバムに寄せ書きもらってもいいか?」



「あっ、倉本くん」





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