引っ込み思案な恋心。-3rd~final~





恐る恐るあーさんを見ると、あーさんは私の言葉を全然聞いてなかったみたいで、倉本くんの卒業アルバムに寄せ書きをつづっているところだった。






「はいっ!できたよ。次は柚ね。……どうかした?」



「いや、ごめん…。何でもないよ。ありがとう、あーさん」






寄せ書きを書き終えたあーさんは不思議そうな顔をしながら私に倉本くんの卒業アルバムを渡してきて、私はそれを複雑な顔をしながら受け取った。





それを見ていた倉本くんは、おかしそうに口を押さえて笑っていた。






「どしたの、倉本くん?何か面白いことでもあったの?」



「いや。杉田ってホント正直者だよなー」



「倉本くんも明日はパーティーの準備?」



「ああ。俺は拓と買い出し。後から来るのは蘇我と細井と小谷だよな?いい知らせ待ってるから」



「ありがとー」






…そう。



結局県立の一般入試を受けたのは、あーさんとななっぺと映美佳だけ。





あかねちゃんとあゆは揃って春からS女に通うことになった。





あかねちゃんは普通科進学コース。



あゆは普通科国際コース。






あゆは専願の推薦で私と拓よりも前に合格を決めていて、入学金も授業料も一部免除されるって、少しホッとしていた。





二人はコースこそ違うけど同じ学校だから、すでに「制服はどのタイプにする?」とか色々話し合っているみたいだった。





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