引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
「あの時の女子が今こーやって目の前にいるのが信じられないよなー」
「私も…、拓にはずっと片想いだなって思ってたから」
「人の縁って不思議なもんだな」
ホントに…
拓の言う通りだと思う。
一人きりでスタートした中学生活。
だけど気が付くと、たくさんの人に囲まれて…
楽しく3年間が過ぎていった。
確かに3年の間には大変なこともたくさんあったけど、今振り返ればいい思い出になってる。
全て…、拓やみんなと乗り越えてきた思い出なんだ。
「帰るだろ?送るから」
「うん!」
拓とつながっていた手を引っ張られて、私は立ち上がった。
拓にバッグを持ってもらって、そのまま拓と手をつないで、家へと続く帰り道を歩く。
「だいぶあったかくなったよなー。俺らが合格通知もらった頃って、めちゃくちゃ寒かったし」
「そうだね。もうすぐ桜も咲くんじゃないかな?」
夕方だから風は冷たいけど、それでも昼間の太陽の温もりがほんの少し残っている気がした。
季節は春へと変わり始めている。