引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
「柚…、また不安に思ってるかもしれないけど、一人じゃないから。俺がいるから。細井も一緒の学校だし」
「うん。頑張れるよ。学校は違っても、みんな私の友達だって胸を張って言えるから」
「そーだな。柚も成長したよな」
「え?そうかな…?」
「2年に上がる時とか、クラス替えだけですげー不安がってたのに。俺も負けずに頑張らねえと」
今も本当は不安なんだけど…
でも、だいぶ気持ちが落ち着いているような気がする。
『一人じゃない』って思えることが、こんなに心強いことなんて。
きっと、3年前の私には分からなかった。
だからまた3年間、今度は拓と一緒にたくさんのことを乗り越えていきたい。
できるよね…、必ず。
「拓……」
「んん?」
「……好きだよ」
「俺も柚のこと好き」
「えへへ」
この手を離さなければ…
きっと大丈夫。
この気持ちを忘れなければ…
きっと大丈夫。
私は夕陽に赤く染まる拓の横顔を見上げながら、そう強く確信した。
*fin*