引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
私が夏期講習のために通っていた塾にたまたま倉本くんも通っていて、もちろん倉本くんは拓という彼氏の存在を知っているにもかかわらず強引に私の携帯の連絡先を交換されて、しばらくはメール攻撃が続いた。
もちろん最後にはきちんと断ったんだけど、あれで『強引な人』というイメージができたと思っていたら…
あかねちゃんの話だと、倉本くんはみんなの前ではあまり積極的に話に入ってこないし、めんどくさそうにしているけど、あかねちゃんと二人きりになるとかなり甘えてくるみたいで、あかねちゃんはそのことを『リアルツンデレ』なんて言ってたっけ。。。
そんな倉本くんとあかねちゃんも、交際は今のところ順調みたい。
「あ〜、マジでうらやましーんだけどっ!柚、私とクラス変わってよ。私は倉本と同じクラスならそれでいーし」
「でも拓と同じクラスになれなくなるよ…」
「大丈夫!映美佳とななっぺがいるし!」
「…ていうか、私の存在って何?あかねちゃん…」
「あっ、ゴメン映美佳」
映美佳とあかねちゃんと、ゆっくりと階段を上がる。
別のクラスと言っても、途中までは同じ階段と廊下を通る。
けど、もちろんそんなに長い距離一緒にいられるわけもなく……。
「とりあえず応援するから。何かあったら瀬川に言いなよ」
「うん。ありがとう、映美佳」
「倉本にヨロシク〜!じゃーね、柚」
「分かったよ、あかねちゃん。じゃあね」
1組の教室の前で二人と別れた。
女子の知り合いが誰もいない教室…。
正直、あまり入りたくない。
もしかしたらもうグループができ上がってるかもしれないし、そしたら私の入る余地なんてないよね…?
一度深いため息をついてから、意を決して教室のドアをゆっくりと開けた。