引っ込み思案な恋心。-3rd~final~








初めてのHR前の、ぎこちなさの中に再会の喜びが入り混じった歓声の聞こえる教室。





入口でとりあえず教室全体を見回してみた。





男子では一人で座っている人も何人かいたけど、女子は前に同じクラスだった人達や席の前後などで話している人ばかりだった。






はぁ…。



やっぱり今年もこんな調子か。






黒板に貼ってある席の表を見て、自分が真ん中の列の前から3番目であることを確認した。





拓は…、今年は同じ出席番号じゃないみたいだから、私の斜め前か。





拓と近くの席は嬉しいけど、やっぱり女子の友達がいないのはかなりキツイ。





どんなイベントでも、同性同士がグループ組んだりすることが多いし、いつでも拓に頼ってもいられないんだよね…。






重い足取りで黒板前から自分の席に向かい、自分の机にカバンを置いてから静かに席に座った。





カバンからクラス名簿を取り出して、もう一度自分のクラスのメンバーを確認してみる。





女子ではもちろん何人か、同じM小出身の人や同じクラスになったことのある人もいたけど…





完全に別のグループだったから、話したことない子達ばかり。。。





席の前後をチラリと見ても、みんな他の友達の近くでしゃべっているのか、席にすら座ってないし。





自分から席を離れて話に行くなんて…、そんな勇気出ないよ。






そう思いながら、クラス名簿に向かって深くため息をついた時だった。








「あっれ〜、柚じゃん!はよー」



「えっ!?」






この聞き覚えのある男子の声は……





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